高齢者施設は、新型コロナウイルス感染症に対して最も警戒すべき場所のひとつです。
なぜなら、高齢者は重症化リスクが高く、施設内で感染が広がれば、一気にクラスター発生につながるからです。
だからこそ、「持ち込まない」「広げない」「迅速に止める」。
この三原則を徹底することが、施設運営における最大の使命となります。
ここでは、現場で即実践できる対策と、特に注意すべきポイントを私の経験を踏まえてお伝えさせて頂きます。
目次
1. ワクチン接種の徹底管理
現在も、ワクチン接種は重症化予防の最大の武器です。
入居者・スタッフともに、最新のワクチン接種歴を常に確認し、必要に応じて追加接種を推進します。
・接種歴のリスト化で把握を徹底
・新規入居者様・退院者・新入職スタッフの接種確認も忘れずに行う
・感染拡大期前(秋〜冬)にワクチンの接種を推奨
・随時、ワクチン情報を収集する
2. 毎日の健康チェックと記録
施設内での感染を早期に発見するために、入居者様・スタッフ全員の体調チェックは徹底します。
・朝・夕の体温測定+症状チェック(咳、咽頭痛、倦怠感など)
・少しでも異変があれば報告・隔離対応
・体温だけでなく「なんとなく元気がない」も見逃さない
・風症状や熱発した職員の報告体制の確立と出勤管理の徹底
3. 感染対策の「当たり前」を常に高いレベルで
新型コロナに限らずですが、ウイルスは目に見えません。
だからこそ、「できているつもり」ではなく、「徹底的に」実施することが重要です。
すなわちスタンダードプリコーション(標準予防策)の実践が大切なのです。
・手指消毒の励行(出入り・食事・トイレの前後)
・マスク着用の徹底(特に室内では全員必須)
・施設内の換気強化(1時間に1回窓を開けるなど)
・共有スペースの定期的な消毒(テーブル・手すり・ドアノブなど)
4. 面会・外出ルールの柔軟な運用
感染状況に応じて、面会や外出の制限も柔軟にコントロールする必要があります。
・通常時は事前予約制・短時間・マスク着用で実施
・感染拡大期にはリモート面会(タブレット等でビデオ通話など)を活用
・外出イベントは感染リスクを見極めて判断(中止も選択肢)
私が勤める施設でも、コロナが出始めた頃は、リモート面会を実施しました。
ご家族様、入居者様も定期的に顔を見ると安心しておられました。
5. 万が一の感染発生時の対応手順を明確に
感染者が発生した場合、一刻も早く初動対応できる体制を整えておくことが命運を分けます。
「感染予防」⇨「感したら広げない」
・速やかな隔離・ゾーニング(区域分け)
・保健所・医療機関への迅速な連絡
・感染者との接触者リスト作成・PCR検査実施
・事前に感染対応マニュアルを整備し、定期的にシミュレーション訓練
対応マニュアルは、その施設に適したもの、実際にできるものであることが必要です。
また、現場・看護師・栄養士・厨房・事務所・上長などの関係者間で良くすり合わせして、施設で統一することが大切です。
ただし、感染症は何が起きるかわかりません。したがって、臨機応変に対応できる職員の育成が必要です。
6.最新の情報を収集する
近隣・市町村や都道府県・国内などの感染や取り組みの情報を随時収集するようにしましょう。
・厚生労働省などのHPをチェック(確認する行為を業務に組み込む)
・市町村等の案内を見逃さない
・役所等と連携
7.指揮する職員の育成
上長がいない時にコロナ感染症が発覚したり、上長自身もコロナ感染症にかかる可能性は十分にあり得ます。
そこで、いざとなったときに現場指揮が図れる職員の育成が重要です。
・現場に入っているリーダー格の職員に対し教育行う
・指揮や備品の使用などの、権限を明確にしておく
・現場、事務所などの連絡フローを明確にしておく
・出勤していない職員への連絡手段を確立しておく(LINEなどのメッセージアプリだと、文章や写真を送れるので共有がスムーズに行える)
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