冬場に猛威を振るう感染性胃腸炎(ノロウイルス、ロタウイルスなど)は、
高齢者施設にとって最も警戒すべき感染症のひとつです。
わずか1人の嘔吐や下痢から始まり、数日でフロア全体に広がる。
しかも、高齢者では脱水や誤嚥性肺炎を引き起こし、重症化する危険もあります。
この感染症を封じるカギは、初動対応の速さと基本動作の徹底にあります。
目次
感染性胃腸炎とは?
「接触・飛沫・環境」が感染の三大ルート
ウイルス性胃腸炎の原因は主にノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルスなど。
中でもノロウイルスは感染力が極めて強く、乾燥した環境でも長時間生存します。
感染経路は、
- 嘔吐物や便への接触感染
- 飛び散った微細な粒子による飛沫感染
- 汚染された物品や環境からの間接感染
これらが複雑に絡み合い、気づかぬうちに感染が広がります。
高齢者施設での実践的な対策5つ
1. 初期対応の「スピード」がすべて
・嘔吐や下痢の症状があれば即座に他者と隔離
・汚物は速やかに処理(乾燥前に処理することが大事)
・使い捨て手袋・マスク・エプロン着用で処理対応
・周囲2メートル以上を次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)で拭き取り消毒
2. 嘔吐物・排泄物の処理手順を標準化
・必ず2人以上で対応(感染拡大防止+安全確保)
・汚物はペーパータオルで静かに覆い、密閉袋に二重封入
・処理後は手洗いと手指消毒の両方を実施
3. 手洗いは「アルコール消毒だけでは不十分」
・ノロウイルスには石けん+流水の手洗いが最も効果的
・爪の間、指の間、手首までしっかり洗う(最低30秒以上)
・アルコール消毒は補助的手段として使用
4. 感染者ゾーニングと物品の分離
・感染者の部屋は個室隔離 or 専用区画を設けてゾーニング
・専用の食器、トイレ、手袋、タオル類を分ける
・ゴミ袋、洗濯物も別管理で、使用後は即洗浄 or 廃棄
5. 職員・家族への情報共有と制限管理
・感染者が出たら全スタッフへ即時周知(隠すほどリスク増)
・職員の体調報告を義務化(腹痛・吐き気・下痢があれば出勤禁止)
・流行時は面会制限やリモート対応を導入し、持ち込み・拡大を防ぐ
高齢者ならではの注意点
感染より怖いのは「脱水」と「誤嚥」
胃腸炎の症状そのものよりも怖いのが、脱水症と誤嚥性肺炎です。
・飲水量が減っていないかを確認する
・「声がかすれている」「食事が進まない」などの異変
・体調悪化時は無理に食べさせない・飲ませない(誤嚥リスク)
水分補給には
OS1がおススメです!(ゼリータイプもあります)
必要に応じて点滴による水分補給や医療連携を即座に判断しましょう。
嘔吐物対応チェック表

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