疥癬とは?高齢者施設での予防と注意すべきポイント

疥癬とは?高齢者施設での予防と注意すべきポイント

疥癬(かいせん)は、ダニによって起こる皮膚感染症。
高齢者施設では集団感染(アウトブレイク)に発展することが少なくありません。

初期の対応次第で、施設の安全も、入居者の尊厳も大きく左右されます。

疥癬において重要なポイントを先にお伝えすると

  • 接触感染に特に注意する
  • 激しい痒みや発赤があったら疥癬を疑う
  • 感染者が身につけていた衣類や寝具などは熱湯消毒(50℃で10分間)

疥癬とは何か? 〜目に見えない感染の正体〜

疥癬は、ヒゼンダニという極めて小さなダニが皮膚に寄生し、強いかゆみや皮膚炎を引き起こす感染症です。
高齢者の場合、免疫力の低下や寝たきりによる皮膚の脆弱化などが重なり、症状が見えにくく、気づきにくいという厄介な特徴があります。

施設での感染リスクが高い理由

  • 入居者間の身体的接触(介助)
  • リネン類・衣類・ベッドの共有
  • 早期発見が難しく、気づいた頃には周囲にも感染
  • 特に、角化型疥癬(ノルウェー疥癬)は爆発的な感染力があり、対応が一刻を争います

介助者自身が発症しなくても、ダニを運んでしまうケースもあります。

疥癬対策の5つの基本ステップ

1. 早期発見の「目」と「感覚」を養う

まずは早期発見をして、適切に対応することが感染拡大防止のカギです。

・入居者が「かゆみ」「掻き傷」を訴えたら要注意
・特に、夜間の強いかゆみが特徴的
・介助中の皮膚チェックを習慣化する(指間、手首、腹部、臀部など)

2. 感染者が出たら、即座に隔離と皮膚科受診

疥癬は空気感染などはしません。
その代わり、接触や寝具などの布系の使い回しにより感染するリスクが高まります。
その為、発見次第、すぐさまの隔離及び感染対策や受診が必要です。

・個室隔離が基本(難しい場合はベッド周囲をカーテンなどで区切る)
・早急に皮膚科へ連携し、確定診断と治療開始
・医師の指示に基づく薬剤塗布(イベルメクチン内服や抗疥癬薬)を徹底

3. 接触感染対策の徹底

疥癬は「空気感染しない」一方で、接触感染のリスクが非常に高いです。

手袋・エプロン・長袖ガウンを使用してケア
・ケア後は衛生手洗いの徹底(消毒ではなく石けんでの手洗いが有効)
・感染者の使用した衣類・リネン・タオル類は毎回交換・洗濯(高温洗濯が推奨)

4. 関係者全員への感染拡大防止教育

・介護職員・看護師・清掃スタッフなど全員に感染経路と対策方法を周知
・「かゆがっている=疥癬かもしれない」という意識を職員全体に持たせる
マニュアルを紙とデジタルの両方で整備し、すぐに参照できるようにする

5. 集団感染を防ぐゾーニングと環境整備

・感染者の生活スペースを明確に区画(ゾーニング)
居室の清掃・消毒を徹底(ベッド、手すり、ナースコールなど)
使用済み物品は密閉袋に入れたうえで処理

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Shatten_Leonard
特養で介護福祉士として10年働いております。 その経験と知識を活用し、介護職への方はもちろん、利用者本人・そのご家族様・介護に携わる皆様、そして、これから介護に携わりたいと思っている皆様のお役に立てればとブログを始めました!