高齢者施設は、インフルエンザウイルスにとって「広がりやすい環境」がそろっています。
- 入居者の免疫力の低下
- 密な生活空間
- 接触の多い介助業務
だからこそ、予防と初期対応を徹底することが、命を守るカギとなります。
ここでは、実践すべき対策と、現場で注意すべきポイントを具体的にご紹介します。
1. ワクチン接種の徹底
最も基本であり、最も効果的な対策はワクチン接種です。
入居者様はもちろん、スタッフ全員が毎年秋に接種を済ませておくことが重要です。
・できるだけ早め(10月〜11月頃)に接種
・新規入所者、非常勤スタッフにも漏れなく接種を推奨
2. 手洗い・うがい・マスクの徹底
ウイルスの侵入を防ぐためには、地上的な衛生管理が不可欠です。
・手洗いは20秒以上、手首、指の間・爪の先まで
・うがいは水だけでも効果あり
・マスクは鼻までしっかり覆い、汚れたらすぐ交換
・来訪者(家族など)にもマスク着用を義務付ける
3. 体調管理の強化
感染拡大を防ぐためには、「早期発見・早期対応」が欠かせません。
・毎日の体温測定(朝・夕2回がおすすめ)
・咳・倦怠感・食欲低下など、微妙な変化も記録と申し送りの徹底(介護職員同士や看護師、上長など)
・スタッフ自身の体調申告制度を徹底(無理な出勤禁止)
4. 面会・外出制限のルール化
インフルエンザ流行時期(冬場)には、柔軟な面会制限が必要です。
・感染が出たらすぐ面会中止を検討
・やむを得ない面会時は短時間・マスク必須
・外出イベントも慎重に判断する(中止も選択肢)
5. 感染者発生時の迅速な対応
万が一、感染者が出た場合は「スピード勝負」です。
拡大を防ぐため、冷静かつ迅速に対応しましょう。
・感染者を速やかに隔離
・ゾーニング(感染区域と非感染区域の区分け)を行う
・必要に応じてタミフル等の予防投与を医師と相談
・施設内に感染対策マニュアルを整備しておく
高齢者にとってインフルエンザは、単なる「風邪」ではありません。
一度重症化すれば、肺炎や心不全を引き起こし、命に関わることもあります。
だからこそ、「感染を持ち込まない」「広げない」「見逃さない」。
この三本柱を合言葉に、スタッフ一人ひとりが危機感を持ち、日常のケアに組み込んでいくことが求められます。
小さな対策の積み重ねが、入居者の笑顔と健康を守る最大の武器になるのです。
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