目次
排泄の考え方・留意点
排泄介助でも、尊厳の保持と自立を支えることを重点に置き、意識する必要があります。
日常生活において、基本的な部分ではありますが、プライベートで敏感な部分です。
要介護者様もできれば自分で行いたいと思っています。
そのことを意識しておきましょう!
排泄介助では以下の点に留意します。
- プライバシーと尊厳の保持
- 皮膚状態を良く観察する
- 衛生面に配慮する
- 安心・安全を考慮する
プライバシーと尊厳の保持
排泄する空間は、落ち着けるプライベート空間です。
そこにお邪魔するのですから、羞恥心に配慮しプライベートの保護は必須です。
具体的には以下の事に注意します。
- カーテン及びドアをきちんと閉める
- 陰部を出している時間は最小にする
- 1動作ごとに声掛けをする
- 周囲に他者がいる時は、声掛けを工夫する(言葉を変える)
- 羞恥心を欠く言葉かけをしない
また、それと同じくらい大切なのが尊厳の保持です。
尊厳を言い換えるなら「その人らしさ」です。
つまり、ここでは「その人らしい排泄を選択しましょう」という事です。
・トイレへ行きたいのか
・オムツ交換がいいのか
・排泄の時間は適切か
などを、1人ひとりに合わせる必要があります。
皮膚状態を良く観察する
外傷や褥瘡の予防と改善には、こまめな皮膚状態の観察が必要不可欠です。
早期に発見できれば、悪化を防げ、原因究明・改善策もすぐに立てられます。
しかし、皮膚を観察できるタイミングは限られます。
極端にいうと排泄と入浴の時ぐらいしか見ることができません。
数少ないタイミングを逃さないようにしましょう。
衛生面に配慮する
微温湯でしっかり陰部を洗浄をします。
この陰部洗浄を怠ってしまうと、尿路感染につながります。
また、交換の際は、便や尿を他に付着させない様に配慮することが汚染拡大防止につながります。
安心安全を考慮する
1動作①声掛けを意識し、安心できる言葉選びを心がけましょう。
また、トイレ等で立った際に、腰に手を当てるなど、安心感が得られる様な支援が望ましいです。
排泄介助の種類
排泄介助には主に以下の種類があります。
- トイレ
- オムツ交換
- ポータブルトイレ
- バルーン及びストマ
- 採尿
主にこの5種類です。
ポータブルトイレ
ポータブルトイレとは、居室等に設置するタイプのトイレです。
便座がついている椅子の様なものです。
バルーン及びストマ
バルーンはカテーテルを尿道に挿入し、ウロバックというバックに尿が直接溜まる仕組みのものです。常につけており、尿閉や自力での排尿が困難な方に用いられます。
ストマとは、腹部に新しく出口を作り、袋状のものを取り付けたものです。
したがってバルーン及びストマといえば、その袋状内にある排泄物を破棄及び清潔を保つ支援となります。
採尿
採尿は、しびんを陰部にあてがい、直接それに排尿して頂く支援です。
※トイレとオムツ交換に関しては次項で解説します。
トイレ介助の基本
トイレ介助では以下の点を考慮します。
- 自由に行けるか
- 残存機能の活用
- 羞恥心への配慮
- トイレへ行くことの重要性
- 転倒・転落予防などのリスクマネジメント
自由に行けるか
誰でも決められた時間でしか行けないのは苦痛を感じます。
「自分の行きたい時に行ける」この環境を整えることは重要です。
残存機能の活用
残存機能とはその名の通り、”残された機能“という意味です。
尊厳やADL(日常生活動作)を維持するためにも、その方ができる事をして頂き、出来ないところのみ支援しましょう。
ただし、その方が支援を希望しているときはその限りではございません。
何でも本人任せにする事が自立(自律)ではありません。
羞恥心への配慮
私たちも、トイレをする時は扉を閉めたり、陰部を隠すはずです。
それは、羞恥心があるからです。
これはご利用者様も同じ事。ですから、羞恥心に配慮する支援が重要です。
具体的には
- トイレの扉を閉める
- ズボンを下ろしすぎない
- ずっとは見守らない
- 汚い言葉や恥ずかしい言葉掛けは避ける
などです。
トイレへ行くことの重要性
排泄の仕方も形態も人それぞれです。しかし、基本は自分でトイレへ行くことが本音ではないでしょうか。
私たちも、排泄を済ませたいときに付いてこられたり、ズボンを下げられたりされたら嫌だと思います。その感情は誰でも持ち合わせております。
そのことを念頭に置いておくことで、支援にも良い影響が出ます。
転倒・転落予防などのリスクマネジメント
とはいえ、なんらかの原因があってトイレへ行くことが困難であったり、行けたとしてもリスクがあります。だからこそ、私たち介護者がいるわけです。
そのため、転倒や転落、外傷などの予防を考えて支援をしていく必要があります。
トイレにおいてのリスクマネジメント(事故予防)に必要な視点として以下があります。
- 身体機能の把握
- 疾病(認知症やパーキンソン病など)や周辺症状(BPSD)の把握
- ニーズ・要望の把握
- 癖や感情の把握
- 環境の把握と改善
・手すりの位置や数は適切か
・床は滑りやすくないか
・便座の高さは適切か
・証明の色、明るさは適切か
・使いやすい工夫がなされているか(使い方の手順など)
オムツ交換の留意点
オムツ交換では以下のことに留意します。
- 代替え支援という意識
- 羞恥心への配慮
- オムツかぶれに注意
- 皮膚状態の観察
- 残存機能の活用
- 適切なオムツの選択
- 衛生面に配慮
などがあります。
まとめ
排泄という行為は、変な話し、生物が最も無防備になる行為の1つだと私は考えています。
人それぞれ考え方は異なると思いますが、ひとりでできればそれに越したことはないはずです。
それをあなたに預けるのですから、羞恥心や自尊心への配慮は決して忘れないように心がけるとようにすると、自然にそういった支援になると思います。
こういった1つひとつの配慮が信頼関係へと直結します。
これからも一緒に介護技術を高め合いましょう!
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