認知症ケアで「その人らしさを大切にする」と言われても、日々の介助で何をすればよいか迷うことがあります。
そこで役立つのがパーソンセンタードケアという考え方です。
パーソンセンタードケアは、本人の思いや生活歴を知り、その人に合う関わり方を考えるための視点です。
パーソンセンタードケアとは
パーソンセンタードケアとは、認知症の症状だけを見るのではなく、一人の人として本人を尊重するケアです。これまでの暮らし、好み、役割、今の気持ちを手がかりに支援を考えます。
例えば、入浴を嫌がる方がいたとします。「入浴拒否」と判断・記録するだけでは、理由は分かりません。お湯の温度が苦手なのか、声をかける時間が合わないのか、寒さや痛みがあるのか。本人の言葉や表情を確かめることで、次に試みる関わり方が見えてきます。
パーソンセンタードケアの重要性
本人の希望を確かめることは、安心して過ごせる環境や、納得できる選択につながります。介護職にとっても、「どう対応するか」を考える前に「なぜそう感じているのか」を探るきっかけになります。
現場では、次のような小さな実践から始められます。
- 食事:好みや食べる順番を聞く
- 入浴:慣れた時間帯や声かけを探る
- 帰宅の訴え:帰りたい理由や気がかりを聴く
施設でのパーソンセンタードケアを調べた系統的レビューでは、個々の研究に改善を示すものがある一方、統合した分析では興奮、心理・行動症状、生活の質について明確な効果を確認できませんでした。「実践すれば必ず症状が改善する」と断定せず、本人の反応を見ながらケアを見直すことが大切です。
論文:PMC
チームであるということ
本人に合う関わり方を、一人の職員だけが知っていても、介護が替わればケアが途切れてしまいます。本人と家族を含め、介護職、看護職などが気づきを共有することが欠かせません。
申し送りや記録では、対応の結果だけでなく、次の点を具体的に残すと役立ちます。
- 何が起きたか:いつ、どのような場面だったか
- 本人はどう反応したか:言葉、表情、しぐさはどうだったか
- 何を試したか:声かけや環境をどう変え、その後どうなったか
「入浴拒否あり」よりも、「夕食前は疲れた様子で入浴を断る。午前中に声をかけると、本人が時間を選んで入浴した」と記録したほうが、次の職員もケアにつなげやすくなります。
チーム(他職種含む)で1人の利生者様の望む暮らしを実現していきます。
そこで、その職種の視点・知識や気づきの共有と申し送りは欠かせません。
まとめ
パーソンセンタードケアの出発点は、本人を知り、希望を確かめることです。日々の反応から関わり方を調整し、その気づきをチームで共有する。小さな積み重ねが、その人に合ったケアを支えます。
参考資料・論文
- 厚生労働省「認知症介護に関する研修資料」
- Berkovic D, et al. The Delivery of Person-Centered Care for People Living With Dementia in Residential Aged Care: A Systematic Review and Meta-Analysis





















パーソン=人
センター=中央
ケア=支援
つまり、その人・その尊厳を中心に考えた支援を指す考え方なんだ